「俺、メロンソーダ」
「またそんな体に悪そうなもの…」
「いいんだよ、疲れた体には甘いもんだろ。それに千代田っぽい色してる」
「…よしてくれ、俺はそんな透き通ってなんか無い」
「何、メロンソーダが透き通ってるだなんて思ってんの?」
「…向こうが見えるものを透き通ってるとは言わない?」
「香料、酸味料、着色料、それに炭酸ガス」
「……何」
「メロンソーダに入ってるもの。全部混ぜたら出来上がり。透き通るには色んなもん混じりすぎだよねー」
「それだけ分かってるくせに、よく飲む気になれるよね」
「体に悪い物の方が美味いんだよ、知らねーの?」
「知りたくなんてないよ」
「強情」
「奔放」
「褒め言葉じゃん」
「どこがだよ。俺には十分厭味さ」
「それ」
「何」
「いちにんしょー。『俺』って千代田には似合わない」
「別に誰が何て言ったっていいだろう」
「でも似合わない」
「……かたくな」
「うん、俺、頑固だもん」
「そのくせ奔放とか、意味がわからないよ」
「俺だって千代田の事全部が全部わかるわけないし。だからわかんないとこあったっておかしくないさ。まぁ俺以上に千代田をわかるヤツなんていないだろーけどね」
「……日比谷の方が絶対お前より僕を分かってるさ」
「根拠は?」
「ずっと、一緒にいた」
「それだけで全部わかったら苦労無いし。分かろうって歩み寄るから相手は見えてくるもんだろ」
「うわ」
「なんだよ」
「君の正論、気持ち悪い」
「お前も言うようになったよな」
「悪い?」
「全然。むしろ気持ちいいくらい」
「……変態?」
「言うに事欠いてテメェ……」
「でも…僕は君に歩み寄った覚えなんて…」
「全く無いって言えるか?そもそもダイヤを円滑に動かすためにお互い歩み寄ってんじゃん」
「仕事とプライベートは分けたいね」
「じゃ、プライベートでも仲良くなりますか」
「君と僕で何が成立するのさ」
「わかってるくせに」
「……ほんと、自由な上に自分勝手」
「お前は意固地」
「……それが身上さ」
「それでいーじゃん。あとやっぱ『僕』のがあってる」
「どうでもいいさ一人称なんて」
「なら、どうでもいいんだろうよ」
「早くそれ飲んじゃってさ、帰らないと寝る間もなく始発だよ」
「わぁー俺の心配?可愛いなー千代田」
「寝ボケてんの?接続してる僕の身にもなってよ」
「やっぱ僕っ子千代田は可愛いなぁー」
「何でお前が僕の接続相手なんだよ馬鹿常磐。お前の相手は半蔵門で十分だよ……」
「え、ヤキモチ?」
「何この話が通じない生き物」


北千住26時



♪サカナクション/表参道26時



2010/07/29
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